虐待を起こさないために
虐待とは?
最初は虐待をテーマにお話していきます。
虐待の種類は一般的に「身体的虐待」「心理的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」「介護・世話の放棄・放任」の5つに分類されます。
これらのことを「殴った」「放置した」と現象だけを捉えて話がされることはよく耳にすると思いますが、ここでは「起きている現象」ではなく「なぜ起こったか」という「原因」の部分にスポットを当ててみたいと思います。
虐待はなぜ起こったか?
虐待とは「恨み」、「人格的な問題」や「経済的事由」等により行われると考えている方は多いのではないかと思います。 しかし、そうではない場合が多く見られます。それはどのような場合かというと、意外な状況下で起こります。 私が在宅介護ソーシャルワークを行ってきた中でよく目にしたのは「介護に一生懸命な人が虐待をする」場面です。なぜそのようなことが起こるのか事例を取り上げてお話していきます。
〜事例〜
Aさん(70歳女性)は一人娘のBさんと二人暮し。寝たきりの状態であるAさんは常時介護が必要な状態であり、母親思いのBさんは献身的な介護を
行っていた。Bさんは介護に時間がとられるため就労の意欲はあれども、働けず経済的にも余裕が無い状態に陥り生活保護を受給していた。
介護負担を軽減するため、訪問介護(ホームヘルパー)を利用していたが、ほとんど休まず介護をしていた。ある日などは訪問すると「清拭にすごく良い液体石鹸があったの」と喜んで報告するなど毎日介護のことを中心に考えて生活していた。
ある日、ヘルパーから「虐待の疑いがある」と訪問の要請があり、訪問してみると背中一面に引っかき傷があった。
本人に聞くと「上から物が落ちてきた」としか言わない。これをBさんに直接聞くわけにはいかないため、「疲れていない?少し休むためにショートス
テイを使わない?」と聞くと泣き崩れ、一生懸命に介護をしても良くならないこと、誰も大変さを共有してくれる人がいないことを話してくれる。
この事例からわかることは、「そのことだけを考えていては追い詰めてしまうこともある」「献身的介護は危険な状態に陥ることもある」ということです。
介護は長い間続きます。大切なご家族と人生最後の締めくくりをより素晴らしい時間にするため、様々なサービスを適切な時期に、適切な量を利用していくことはすごく大切なことと言えます。

