ヒーロー不在の時代に誕生した新たなスター、その名は「県庁さん」!
戦後に生まれた全世代を通じて,男に生まれた団塊ジュニア世代ほど,かわいそうな境遇にある人々があったでしょうか?
1971〜74年ごろ生まれの第2次ベビーブーム世代,いわゆる「団塊ジュニア」が社会人となるのは1992年ごろから,バブル経済(1985〜1989年)はすっかりはじけ,1994年から10年以上続く「就職氷河期」突入前夜でした。
それまで過当な受験競争に耐えてきたにもかかわらず,「団塊の世代(1941〜1949年生まれ)」や他の世代ほどのムーブメントを起こせず「何か地味」
と言われ,社会に出てから待ち構えていたのは「失われた10年」「少子高齢化,人口減少(2005〜),年金崩壊」「下流社会」…。
さらに家庭のあり方も変わり,男性が家事をやるのは当たり前のこのご時勢,でも家計の大黒柱役から降りることは許されず…
映画『県庁の星』の主人公,35歳の野村聡(織田裕二)もまた,多くの団塊ジュニアが辿ったかわいそうな境遇を潜り抜けてきた1人なのです。
しかし野村は高校・大学では成績優秀,採用試験も一発合格の,K県庁の上級職員。
それまでたいした挫折も体験せずに人生を過ごしてしまうと,子ども特有の万能感が抜け切れないまま大人になってしまう人がまれにいますが,彼はまさにそんなタイプというわけです。
さらに周りの同期が苦労する姿を散々見てきてはなおさら,「オレは奴等とは違う。オレはできる」という思いを強くしたに違いありません(かわいそうな団塊Jr.世代!)。
映画の中で,彼は民間の経営手法を学ぶため,地元のスーパーマーケットに研修に出るわけですが,その行く先々で,冗談かと思えるようなエリート風を吹かせます。いくら上級職員とはいえ,県庁職員ってそんなに“エリート”か?
実際に映画のような県庁職員がいたら,県民からのクレームは嵐の如くでしょうが,でも今のご時勢,県庁職員がエリートというのは,今の社会情勢やその期待される役割を考えれば,あながち間違いでもないのです。…

