エレベーターは安全も運ぶもの
「皆様こんにちは。マンション管理士の渡部(わたべ)と申します。
さて、マンションに関する話題に事欠かない最近ですが、先日、話題になって欲しくないできごとが起きてしまいました。いつもは何気なく、そして心の底から安全だと信じて、疑いもせずに毎日乗っているエレベーターが人命を奪ってしまった、という起きてはならない事故が起きてしまいました。その事故が起きたこと自体もショッキングなできごとでしたが、その後のエレベーターメーカーの対応にも考えさせられるものがありました。
そこで、二度とこんな悲しいできごとが起きないようにという願いも込めて、普段はあまり意識をしないマンションとエレベーターについて皆様と一緒に考えてみましょう。
一部の例外を除いて、エレベーターの無いマンションは、考えられません。2階より上の階に住んでいる方たちにとって、エレベーターは生活の必需品です。特に近年急増している高層、超高層マンションにあっては尚更です。エレベーターの無いマンションなんて考えられないと同時に、エレベーターの無い生活も考えられないのです。
ひとつの例としてお話しすると、地震の揺れを感知すると殆どのエレベーターは、最寄りの階で停止するように設定されています。そうなると、仮に階段を使って地上まで避難できたとしても、技術の方が到着して復旧するまではエレベーターは動かない、つまり使えないのですから、地上から40階の自宅に戻るためには階段を登るしか手段はありません。この悲しい事故の起きた住宅にお住まいの方たちも経験されましたが、実際に階段を使って高層階に戻ることがどんなに大変なことなのかは、容易に想像がつきます。
少しばかり過激な例を挙げましたが、このようにエレベーターのないマンション生活なんて考えられないのです。
マンション住まいの必需品であるこのエレベーターは、居住者、外来者や物品等を安全かつ確実に輸送する設備であると定義されています。「安全かつ確実」に輸送する設備といっているのに、今回のできごとでは、安全ではなかったということが本当に残念です。そして、皆様ご存知の建築基準法という法律には、エレベーターの構造などについては規定されているのですが、実は、運行管理については規定が設けられていません。
では、何を運行管理の拠りどころにしているかといえば、平成5年に作られた「昇降機の維持及び運行の管理に関する指針」という指針に従っているのです。あまり知られていない知識でした。
次回は、実際にどのような仕組みで、エレベーターの安全を保つための点検などが行われているのかを考えてみましょう、お楽しみに。
ではまたお会いしましょう。

