村上ファンド事件で読みとく経済の裏側
まずは、今回の事件によく出てくる2つの言葉がありますので、その確認からはじめたいと思います。
「インサイダー取引」って何?
1つ目はこのコラムの最初にも書きましたが、「インサイダー取引」です。インサイダー取引とは、上場会社の関係者(役員・社員など)や情報受領者(会社関係者から重要事実の伝達を受けた者)がその会社の株価に重要な影響を与える情報を知り、その情報が公表される前にその情報(インサイダー情報)を利用し、会社の株式等を売買して不正に利益を上げることをいいます。
例えば、A社の社員が、A社で開発していた新製品が完成し、来週発表になることを知っていたとします。この開発は画期的な発明で、発表されれば間違いなく株価は上がると思い、早速その社員はA社(自社)の株式を購入。
来週になって実際、新製品の発表が行われて株価が上昇し、この社員はA社の株式の売買で大儲けしました・・・。こういう株の取引が、インサイダー取引に該当します。
読んでいただければ明らかなように、インサイダー取引は、証券市場の信頼を損なう不公平な取引であり、「投資者保護」の観点から禁止されています。
今回の例で考えてみると、A社の社員は、この情報が公表される前に株式を購入しているので、安い値段で株式を買うことができる、そして一般の投資家は、当然のことながら、その情報を知ってから株式を購入することになる、つまり画期的な発明が分かってから株式を買うことになるので、高い値段で株式を買うことになるのです。
インサイダー取引は、証券取引法において「会社関係者が重要事実の公表前に行う株券等の取引」として禁止しており、違反した者には3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科されることとなっています。
「(村上)ファンド」って何?
そして、もう1つは「(村上)ファンド」です。ファンドとは、お金を運用したいと考えている会社や個人から資金を集め、その資金を運用し儲けようとする、いわゆる投資信託のようなものです。
「村上ファンド」は、上場会社の株式を多数買い集め、その会社の経営に「モノを言う」形で改善を促し、業績向上や株主への配当を増やすことにより株価を上昇させ、ファンドの運用成績を上げようとするものでした。
村上世彰容疑者は元通産省(現在の経済産業省)出身で、1999年8月に村上ファンドの母体となる「MACアセットマネジメント」を設立、投資ファンドの事業をはじめました。元官僚という肩書きや運用成績も好調なため、投資資金はどんどん集まり、数千億円程度のお金を投資家から集めて運用していたといわれています。
最近では阪神電鉄株を買い集め、元々400円程度だった阪神電鉄の株価が、一気に1200円を超え、わずか3ヶ月ほどで株価は3倍に値上がりをしていました。
阪神タイガースの株式を上場させるとか、阪急電鉄と統合させるなど、ニュースでも話題になっていたと思います。
今回の逮捕はこの阪神電鉄の株式を買ったことではなく、最初にも書きましたが、2004年にニッポン放送の株式を買い集めたことが原因になっています。その理由はまさに、インサイダー取引だったのです。
次回へ続く…。

