なぜか書けない「自分の志望動機」(前半)
私が、キャリア・コンサルタントとして、学生の就職活動支援をしている中で、
「自分のやりたいことがわからない」、
「これまで目立った活動をしてこなかったから、自分の売り・強みが見当たらない」、
さらには、「応募書類の志望動機がなかなか書けない」
という切実な声を、よく耳にします。
説得力のある「志望動機」を書くことができないと嘆いている人たちは、どのような応募書類を作成しているのでしょうか。
そして、就職活動を成功に導くための「基本の基」ともいえる、「志望動機」がうまく書けないという問題を抱えながら就活をしている人が、たくさんいることに驚かされます。
「志望動機」の書き方が分からずに就活をしていることは、車の運転に例えると、エンジンを掛けて、ハンドルをもち、アクセルを踏んで車を進めていますが、目標がどこで、どの道を行くのが効果的で、安全かなどをまったく分からないでいるドライバーと同じです。
こうした人たちは、就活が進んでいくにつれ、「友人が内定を取り始めた」という情報に接すると、とりあえず「自分も内定の一つも取らなければ」とあせりだします。
その結果、運転している車のスピードを上げたり近道をしようとして、かえって事故に遭ったり悪路に迷い込んでしまうことになりかねません。
「志望動機」が書けないという問題を抱えている人の多くは、自己の職業興味や適性に関する理解(自己理解)はある程度しているものの、次に行うべき「職業理解」、すなわち「業界研究」や「企業研究」が不十分なようです。
先ほどの運転の例で言えば、進むべき目標が明確に定まっていないのですから、そこに行くためのルートや道標が見えない状況と同じです。
確かに、自己分析の結果から、自分のやりたいことや「適職」が明確に意識できて、就職希望業種や企業が特定され、その企業への入社に向けた活動を着実にしている人もいます。
本来的には、すべての人がこのようにして就活をしていくことができれば、それは望ましいことかも知れません。
しかし、現実には、自分の職業興味や適性の判断から、自分のやりたいことを見つけ、それを実現するための業種・職種、そして志望企業を見つけることのできる人は少ないのです。
この点を、「大人」から、「自分のやりたいことぐらいわかるだろう」とか「志望する企業くらい自分で見つけなさい」という無責任な言葉が投げかけられます。
就活をしている人たちに必要なのは、ずばり「自分の職業興味や適性を活かせる業種や企業をどのようにして見つけ、絞り込んでいくか」という方法論なのです。
これを「志望動機」が書けないというテーマに当てはめると、「自分がその企業に入社したい本当の理由が分からない」もしくは「入社したいという意欲を、うまく伝えるための表現が見つからない」という二通りの「問題」があることになります。
次回は、そのうちの前者について、つまり「自分がその企業に入社したい本当の理由が分からない」といった問題についてもう少し掘り下げて考えてみましょう。

