激変する貿易環境
日本は資源に乏しい国ですので貿易により富を得ていかなければ生きていくことができません。貿易はまさに日本の生命線です。この貿易に関する環境が近年大きく変わりつつあります。そこでなぜそのような変化が生じたのかということと,その中で日本が生き残っていくためにはどうしたらよいのかということについてお話ししていきます。
貿易に関するルールの変遷
まず貿易に関するルールの変遷を概観していきたいと思います。
第2次世界大戦前には貿易に関する国際的なルールがそもそも存在していませんでした。まさに「自由放任」状態であったわけです。その中で各国は自由に貿易を行うことで富を蓄積してきました。
ところが世界大恐慌を契機として,各国政府は国内産業を保護するため,輸出を増やし輸入を減らすための政策を実施するようになります。これを保護貿易主義といいます。
当時多くの植民地を持っていたイギリスやフランスは,植民地市場において外国製品を締め出し,自国製品のみを販売できるようにすることで,国内産業の保護を図ったのです(これをブロック経済といいます)。これに対して植民地をあまり持たない日本やドイツは他国やその植民地から締め出され,また植民地市場を持たないため自国製品を販売して富を得ることができなくなりました。このため植民地を持たない国が植民地の再分配を求めるようになり,結果起きたのが第2次世界大戦でした。
そこで第2次世界大戦後各国は,各国が障害なく自由に貿易できる「自由貿易」を推進しよういうことになり,結果作られたのが「関税と貿易に関する一般協定(GATT: General Agreement on Tariffs and Trade)」でした。そしてそれがさらに発展したものが「世界貿易機関(WTO: World Trade Organization)」です。
このGATT/WTOでは,貿易の最大の障害である関税の引き下げに関する交渉を二国間ではなく多数国間で行う(多角的貿易交渉,一般にラウンドと呼ばれます)ことにしているのですが,これが今大きく変わりつつあるのです。

