ちょっと厄介な間違いをチェックしておこう
第1回から紹介してきたイギリス英語とアメリカ英語の違いは一般的によく知られています。
イギリス人やアメリカ人の中にも、それぞれに対応する単語や表現まで知っている人も結構います。
でも、なじみの少ないものについては、時々、混乱やトラブルの原因になりかねないので気をつけてください。
今回は、イギリス人の私や、私の友人が体験した、ちょっと恥ずかしい話をお教えしましょう。
私が来日したばかりの頃、同僚のアメリカ人女性に ”Hey, Richard. What’s up?” と挨拶をされて、人目には自分は病気みたいに見えるのだろうかと驚いたことがあります。
なぜならアメリカで ’What’s up?’ は「元気?」という挨拶の決まり文句なのに対し、イギリスでは ”Oi, Richard. What’s wrong?”という表現を使い、「(具合が悪そうだけど)大丈夫?」という意味になるからです。
また同じ女性との挨拶のときに、”How’s it hanging?”(調子はどう?)と尋ねられたのですが、イギリス人の私にとっては、どんな感じで「ぶら下がってる(hanging)?」という質問は、あまりにも「プライベートな」ことであり、職場での話題にはふさわしくありません!どういうことか想像つきますよね。
当然ながら、私にはどう答えて良いのか見当もつかず、いまだにどう対応してよいか戸惑ってしまいます。
イギリス英語で「調子はどう?」という表現は、”How’s it going?” を使い、’fine’ (いいよ)、 ‘not bad’(悪くない)と簡単に答えるのが一般的です。
その後、たまたまその女性に私が「rubber(消しゴム)を持っていたら貸してくれないか」と尋ねる場面があり、そのときに私の「復讐」の機会が思いがけず回ってくることになったのです。
私のそのリクエストに対して、彼女は露骨に不快感を表し、他の男性の同僚に聞けば良いと答えただけでした。
「消しゴムくらい貸してくれても良いのに」と思った私にとって、彼女の態度は全く腑に落ちないものでしたが、後になって、アメリカ英語でrubberは消しゴム(eraser)ではなく、コンドーム(condom)のことだと知ってビックリしてしまいました。しまった!
大学時代の友人が初めて海外旅行をしたとき、ニューヨークのバーで飲みながら、バーテンダーに気軽にこう話しかけました。
「あのさ、fags(タバコ)ってどこで買える?」
「えっ?」
「fagsを買いたいんだけどさ、どこで売ってるかな?」
バーテンダーは困った様子で、多少いらつきを見せながらも、この不思議なイギリス人に少し興味を惹かれたようでもありました。
「fagsだって?あんた、fagsを買いたいのかい?どんだけ?」
「20」
笑顔でこう答えた友人は、この時点で驚くなかれ、バーから追い出されてしまいました。
なぜだか理由が分かりますか。この話の教訓は、アメリカでfagsを買おうとしてはいけないということです。タバコではなく、「同性愛者の男性」を注文していることになってしまいますから。
私がアメリカ人の友人に「僕はfortnight(フォートナイト)、イギリスに帰る」と言ったとき、「僕はforthright(フォースライト)(率直な、ずばりと言う)だからイギリスに帰る」という風に聞き間違えられ、訳の分からないことをいう奴だと思われてしまったことがあります。
イギリスでは「2週間」のことをfortnightと言うのですが、イギリス以外ではめったに使われないので、似たような発音の単語と勘違いされたのです。
このエピソードは、英語のネイティブスピーカーでさえ、発音が原因で誤解を生むこともあるという例ですね。

