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水冷システムの評価と効果

9回にわたり水冷システムについてお話して来ましたが、今回は最終回として「水冷システムの評価と効果」についてお話します。

1.水冷システムの評価

水冷システムを評価するには、熱抵抗(℃/W)という物差しを使います。(℃)は温度差を、W(ワット)は発熱源の熱量を示します。 通常ある物質の熱の伝わり度合いを示す言葉として、熱伝導率という言葉を使いますが、これは、ある特定の1物質(空気、水、鉄、銅など)に関しての熱の伝わり度合いを示すものです。 熱伝導率に対して熱抵抗(℃/W)は、複数の物質が介在した系全体の熱の伝わりにくさ(熱抵抗)を表せるものなのです。ちょっとわかり難いかもしれませんが、式にすると以下のようになります。

熱抵抗(℃/W)=温度差(℃)÷熱源の熱量(W)

熱抵抗はその温度差と加わる熱量(W)が比例関係にあります。熱抵抗(℃/W)を使えばCPUの発熱量(W)と水冷システム系の熱抵抗値(℃/W)がわかっていれば、環境温度(室温)とCPUの温度差(℃)がわかることになります。
また、熱量(W)と温度差が(℃)わかれば熱抵抗値(℃/W)を知ることができます。
以下に、現在筆者の常用している水冷システムの熱抵抗値(℃/W)を以下に示します。
※熱抵抗値(℃/W)の値は小さいほど(熱が伝わりやすい)水冷システムの評価としては高い。

水冷系全体の評価(CPU→環境温度)
A:CPU温度(℃) 37(℃)
B:室温(℃) 19.7(℃)
C:CPU発熱量(W) 130(W)
熱抵抗値(℃/W)=(A−B)÷(C) 0.133(℃/W)
水温(℃) 24.6(℃)

2.水冷システムの効果

しっかり組まれた水冷システムは、空冷システムと比べ効率的な冷却が可能です。しかし、当たり前のことですが、どちらも室温(空気温度)以下に冷やすことはできません。 ここでは、水冷システムを利用し、OC(オーバークロック:CPUの定格周波数を強制的に上昇させる)を行った場合で比較してみます。 以下に、OCテストを実施した水冷P Cシステムと実測値を示します。

CPUとチップセット部

冷却方式 空冷 水冷 水冷
CPUクロック 3.4GHz(定格) 3.4GHz(定格) 4.1GHz(OC20%)
ベンチマーク(スーパーπ※) 104万桁、41秒 104万桁、41秒 104万桁、33秒
CPU温度 40℃ 34℃ 37℃
室度 20℃ 20℃ 20℃
※スーパーπ:円周率πの計算を行うことでCPUの能力を推し量るベンチマークテストプログラムとして知られている。 東京大学大型計算機センターの金田康正助教授と大学院生の高橋大介さんらが1995年8月に円周率πを、小数点以下42億9496万桁まで計算することに成功、現在のπ計算の世界記録となっている。

考察

  • CPUの定格クロックでの比較では、空冷比CPU温度が水冷の場合6℃ほど低い(冷却能力が高い)ことがわかる。
  • OC(4.1GHz)によるベンチマーク比較では定格クロック(3.4GHz)に比べ、スーパーπ104万桁の計算時間が8秒短縮(速い)された。
※ 空冷でのOCでは、3.8GHzが限界(OS起動の限界)であり、4.1GHzのOCは水冷による冷却効果の高さがあってなしえる値である。 ※ 下の写真は、放熱部(ラジエター)とリザーブタンク部

終わりに

水冷システムは決して万人に薦められる方式ではありませんが、既存のPC能力を限界までひきだすのに有効な手段の一つといえましょう。 筆者の水冷PCは、すでに一昔前のシステムですが、現時点においても最新のパーツで構成された空冷PCと比べても特に見劣りするような性能差はありません。 CPUクロックに限れば、いまだ4GHzを超えるCPUは出現していません。言い換えれば、水冷化することで性能が陳腐化することを引き伸ばすことが可能であるとも言えるのではないでしょうか?もちろん最高のパフォーマンスを引き出しつつ、うるさくならないPCとすることも可能です。

最後に、水冷化やCPUのOCはあくまでも自己責任の元で行うべきことを申し上げておきます。
本コラムでは水冷化、OCによって生じたいかなる不具合、異常について責を負うものではございません。予めご承知おきください。
連載にお付き合いいただきましてありがとうございました。

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