自由貿易の危機
多数国交渉による貿易自由化が進まないため,2国間で貿易を自由化するFTAの設立が進んでいますが,このことの問題点について考えていきます。
WTOの建前―平等原則
WTOではすべての国の輸入品を原則として平等に扱うことが義務づけられており,ある商品についての関税の税率は,どの国からの輸入品であっても同じでなければいけないことになっています。たとえば外国から日本に輸入されるビールには,1リットルあたり6.4円の関税が課されます(2006年4月時点)が,この税率はどこの国から輸入されるビールであっても同じでなければいけません。A国から輸入するビールには5円,B国から輸入するビールには8円というように,国によって異なる関税を課すことは禁止されています。これは特定の国からの輸入品を締め出すことを禁止することにより,第2次世界大戦前に生じたブロック経済化を防ぐためです。
FTAが成立すると―平等原則の例外
ところがFTAが成立すると,FTA内では原則として関税が撤廃されますので,このためFTAが成立した国と成立していない国との間では関税の税率が異なることになります。たとえば先ほどのビールについても,日本との間でFTAが成立しているメキシコから輸入されたものについては無税となります。このためFTAが成立していない国は,FTAが成立している国に比べて不利な立場に置かれることになるのです。これはGATT・WTOが推進してきた自由貿易体制にとっては,大変な脅威といえます。
このように世界貿易が大きな転換点を迎える中で,日本が生き残るためにはどうしたらよいのでしょうか。

