スペアタイヤを積んだらパンクは起きない?
リスク分析のポイントについて、続けたいと思います。
まず、最初にお断りしておきますが、日本で「リスク」というと、いわゆるクライシスばかりがとり上げられるようです。しかし、リスクは必ずしもそればかりではありません。たとえば、会社の創立記念日の式典を担当する総務課長にとって、「来賓の欠席」は立派な?リスクといえます。すなわち、リスクとは、将来生じかねないトラブル一般と考えてよいでしょう。
ところで、スペアタイヤを積んで走っている自動車を見ることがありますよね。これも自動車のタイヤがパンクするというトラブルに対する対処の仕方のひとつです。これに対し、運転の前にタイヤの整備などをしっかりすることもパンクに対する対処の仕方です。では、両者はどこが違うのでしょう。
そうです。後者はトラブルをできるだけ起きないようにするもの(予防対策)ですが、前者は、トラブルが起きたときにその影響を最少にしようとするものです(発生時対策)。
リスクヘッジとは、この予防対策と発生時対策の二面から対策を立てることを言います。すなわち、まずは、トラブルが起きる可能性を最小限にする必要があります。たとえば、式典の例で言えば、来賓ができるだけ参加しやすいような方策(たとえば、車の手配など)を講じたり、あらかじめ、来賓の事情を充分に把握しておくことがこれにあたります。しかし、そこまでやっても、病気や交通事故で参加できない場合もあるでしょう。そのときは、どうするか、代役を立てるのか、式次第を変えるのか、などを考えなければなりません。つまり、トラブルの影響を最小限度にすることを考えなければならないのです。
リスクを分析する会議において、なかなかすっきりと結論が出ないことはありませんか。そのときは、この両者が混じったまま議論がなされていないか考えてみてください。
スペアタイヤをいくら積んでも、パンクが起きる可能性は小さくならないのです。

