認知症の方に接する際の注意点〜物盗られ妄想について〜
今回は認知症の方に接する際の、注意すべき点の一つを取り上げます。
Aさんは軽い認知症。ヘルパーがAさん宅を訪問し、仕事を終えて事業所に帰ったところ、Aさんから「財布がない」との連絡が入りました。ヘルパーは事務所長に了解をとり、あらためてAさん宅を訪問し、一緒に探しました。そのうち、ヘルパーは、Aさんの買物に同行した際、Aさんが財布をいつもとは違うカバンに入れていたことを思い出しました。そこで、カバンから財布を取り出し、「ありましたよ」と手渡しました。するとAさんは「あなたが盗って、今入れたんでしょう!」と怒り出してしまいました。
認知症の方の場合、自分でしまった物のありかを忘れてしまうことがあります。そして、「ないのは盗まれたからだ」と考えてしまうことを「物盗られ妄想」といいます。
この、物盗られ妄想の方への対応として、上の事例のように、他人がその物を見つけることはトラブルの原因になります。
Aさん本人としては、「盗られた」ことになっているわけですから、他人が見つけたのでは、「盗まれたことを隠すためにやった」ように見えてしまうわけです。
こうした「物盗られ妄想」への対応のコツは、以下の通りです。
まず、物が「なくなった」という場合はもちろん、「盗られた」と言っている場合でも、まずはその方と一緒に探しましょう。一緒に、というのがポイントです。
次に、介護者側が見つけたとしても、そのままにして、ご本人が自分で見つけるようにうまく誘導しましょう。こうすればご本人も納得しますし、トラブルを避けることができます。
また、普段から、ご本人が物をしまう場所を把握しておくのもよいでしょう。こうすることで、物を探す際に、ある程度目星をつけることができます。
認知症の方に対するケアは、一般の感覚ではなかなか計り知れない行動をすることもあり、介護者の負担も増えます。しかし、認知症の方々の行動は、それが表現のかたちが一般とは少々異なるだけであって、それぞれに意味があります。その意味を探り、適切な対処をしていくことが、なにより大切といえます。
今日のまとめ
「物盗られ妄想」が見られたら、物を探す際には一緒に探し、本人自身が見つけるようにする。決して、介護者が見つけたことにしてはならない。

