ヨーロッパは1つにまとまれるのか?〜さらなるEU拡大の現状と問題点〜
ヨーロッパのほとんどの国はEU(欧州連合)に加盟しています。また,西ヨーロッパの多くの国では,統一通貨ユーロが使われていることは,現地を訪れた方でしたらご存知でしょう。このように,ヨーロッパの国々は,言語・文化・民族は異なりますが,EUを通じて1つのまとまりを構成しつつあります。
EUの加盟国は,現在実に25カ国を数えますが,先日,EUの行政機関に相当する欧州委員会が,ルーマニアとブルガリアの2007年1月1日のEU加盟を認める報告書を発表しました。今年12月のEU首脳会議で加盟を正式に承認し,2007年にEUは27カ国に拡大することになります。
ここで,EUの歴史を振り返っておきましょう。
EUは,かつてのヨーロッパの国家連合体であるEC(欧州共同体)を発展させる形で1993年11月1日に発足しました。経済ばかりでなく,政治や軍事などあらゆる分野での統合を目指しており,本部はベルギーのブリュッセルにあります。しばらく西ヨーロッパの組織として機能していましたが,2004年に中東欧から10カ国を加盟させ,一気に規模が拡大し,25ヵ国体制になりました。ここに,来年,ブルガリアとルーマニアという2つの国が加わるわけです。
さて,このようなEUですが,統合は順調に進んでいるとはいいがたい面もあります。
EU域内では,人・モノ・金の単一市場が原則となっており,基本的にEU市民であればEU内での就労も自由化されているのですが,どうしても労働力の移動が関係すると,国内に民族主義的風潮が強まり,右傾化していきます。ここから,余計な軋轢や民族対立などが加盟国間で生まれています。
また,現在,EUはそれまで批准されてきた50以上の条約や議定書に代えて,それらの理念を「憲法」という形(名前こそ憲法ですが,あくまでも「条約」です)にまとめたEU憲法条約を採択していますが,この条約を発効させるためには全加盟国での批准が必要なのにもかかわらず,一部の国では作業が難航しており,発効にはまだ時間がかかりそうな状況です。
EU拡大に加え,EU憲法条約の動向も合わせて今後,チェックしていきましょう。

