[時事問題【国内】] 国内時事問題考察

アドバイザー:植松 和宏 / 行政書士・LEC専任講師

 

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景気回復? 〜「いざなぎ景気」を越える好景気?〜

 2006年10月に,大田弘子経済財政担当大臣は「景気は回復している」という月例経済報告を閣議に提出しました。これにより景気の拡大期間は57ヵ月となり,1965年10月から1970年7月まで続いた戦後最長の景気拡大期である「いざなぎ景気」に並ぶことになりました。2006年11月には,景気拡大はそのまま続き戦後最長の好景気記録更新は確実となっています。

 しかし,戦後の高度経済成長期の4つの景気拡大期(神武景気,岩戸景気,オリンピック景気,いざなぎ景気)にくらべ,今の景気はこれらを越えるほどの大きな景気拡大なのでしょうか?

 「神武景気(1955年〜57年,31ヶ月)」は,朝鮮戦争による戦争特需によって発生した爆発的な好景気であり,初代天皇とされる神武天皇以来,例をみない好景気という意味で名づけられました。この「神武景気」によって,1956年の経済白書は当時の日本経済を「もはや戦後ではない」と表現しました。

 「岩戸景気(1958年〜61年,42ヶ月)」は,神武景気を上回る好景気から,神武天皇より遡って「天照大神が天の岩戸に隠れて以来の好景気」として命名されました。「岩戸景気」では,GNP(国民総生産)が前年比で17.5%増(当時の計算値)となり,戦後最高を記録したこともあります。また,1960年12月には,当時の池田勇人内閣によって所得倍増計画が発表されました。これは,公共投資による民間経済成長と農村近代化により農業人口を第2次産業人口に移転させることにより国民所得を10年間で倍増させるという内容でしたが,現実には所得倍増まで10年を経たずに前倒しで国民所得の倍増を実現させています。

 「オリンピック景気(1962年〜1964年,25ヶ月)」は,1964年に開かれた東京オリンピックの建設投資ブームと好調な輸出によってもたらされた好景気です。オリンピックの開催にあわせて行われた国立競技場や東海道新幹線建設などの公共事業によって牽引されました。またこの頃には,日本は先進国クラブとも言われるOECD(経済協力開発機構)の加盟国になっています。

 そして,オリンピック後の40年不況を経て,1965年から1970年にかけて続いた好景気が「いざなぎ景気(1965年〜70年,57ヶ月)」です。その名前の由来は天照大神よりさらに遡り,国産み神話の伊耶那岐命(イザナギノミコト)から拝借したとされています。この時期には日本の国民所得は大きく伸び,日本は世界第2位の経済大国にまで成長し,ほぼ現在と変わらない「先進国日本」が形成されました。

 こうしてみると,過去の好景気では,伝説的な名前が付くことからも(当時の大人は戦前に歴史教育を受けていますから,このような日本神話の人物になじみがあったのでしょう),国を挙げて勢いづいていることがわかります。

 現在の景気は,戦後最長を更新しようとしていますが,感覚的に過去の好景気ほど国民生活に恩恵をもたらしていないような気がします。現在の日本では「勝ち組」と「負け組」が明確となり,多くの国民は戦後最長の好景気と言われてもあまり実感がないのでしょう。言葉に違和感を受けてしまうのは,景気の勢いを考慮せずに単に期間だけを見ていることや,デフレ下の景気上昇であることなどが挙げられます。

 それでも現在の好景気に支えられ,就職状況は好調で売り手市場になってきており,求人情報誌の厚さも増してきました。土地の価格も上がりはじめています。少しずつ景気回復が目に見えてきましたが,一国民としてはもう少し景気回復の恩恵を受けたいと思います。このまま景気を減速へ向かわせないためにも,「戦後最長」という記録よりも,国民全体の生活向上を目指した政策を政府に期待したいと思います。

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