源泉所得税、還付についてのケーススタディ
源泉所得税が還付されるかどうか、配当金を9千円もらった(1株の配当金が10
円で、1000株所有している)ケースで考えてみたいと思います。
1株の配当金が10円で1000株所有しているので、10円×1000株=10
000円がもらえることになります。ではなぜ今回のケースは9000円もらったと
なっているのでしょうか?そうです。前回のコラムを確認してください。配当金を受
け取る際には、配当金を支払う上場会社のほうで所得税と住民税が源泉徴収されるた
め、税金が引かれた後の金額を受け取ることになるのです。源泉徴収の税率は上場会
社からの配当金の場合、所得税が7%、住民税が3%になるため、合計10%の税金
が差し引かれることになります。したがって株主の手元に送られてくる配当金は10
000円×90%=9000円となります。
では、所得税の計算上使う金額は10000円でしょうか、それとも手取額の90
00円でしょうか?実際もらった金額は9000円なので、申告の金額も9000円
としたいところですが、そうではありません。税金の計算をするわけですから、税金
が引かれる前の金額、つまり10000円を使って計算するのです。
所得金額が10000円なので、この金額に所得税の税率(金額に応じて所得税法
で何%になるかを定めています。次回所得税の税率全体について紹介します。)10
%をかけて税金を計算します。所得税は10000円×10%=1000円となりま
す。この段階では、もらった配当金について申告をしたせいで、税金が1000円余
計に発生するように思われます。わざわざ申告書を書いて、税金を多くとられたらダ
ブル損だと一般的に考えられてしまう部分です。
しかし税金の計算はまだ続きます。配当金10000円を申告した結果1000円
の所得税が発生してしまいましたが、ここから控除できる項目が2つあるのです。
まず1つ目は配当控除という規定が設けられています。第2回目のコラムで紹介し
ましたが、会社は誰のもの?を思い出してください。会社は株主のものです。つまり
会社の儲けについても株主のものと考えることができます。会社の儲け(利益)には
法人税が課税されます。そして法人税を払った残りの部分から株主に配当金が支払わ
れることになるのです。
ここで株主がもらった配当金にまた課税されるとなると、二重課税の問題が起こり
ます。なぜかというと、会社の儲け(株主の儲け)に対してはすでに法人税を支払っ
ており、その残りを分配した(株主に返還した)配当金からまた、株主が所得税をと
られるとなると、1つの儲けに対して2つの税金(法人税と所得税)が課されること
になるのです。
この二重課税防止のため、所得税では配当控除の規定があります。「(申告した)
配当所得×10%」を所得税計算上控除できるのです。
2つ目は源泉徴収税額の控除です。源泉徴収制度とは第8回のコラムで確認してい
ただいたとおり、配当金の支払者はその支払いの際、あらかじめ所得税(と住民税)
を徴収し、残りの金額を株主に配当金として支払うという制度でした。給料等でも同
じですが、我々が配当金をもらう時点で既に所得税等が差し引かれているのです。今
回のケースでもそうでしたが、10000円もらえるはずの配当金が実際の手取額は
9000円。つまり所得税700円と住民税300円は既に払っていると考えられる
のです。
そこで今は、改めて配当金について確定申告をして所得税の計算をし直しているの
で、源泉徴収により差し引かれた所得税700円は、納付する所得税の計算上前払い
をした金額として控除できることになります。
したがって、配当金10000円を確定申告することにより、所得税が1000円
余計に発生しましたが、そこから配当控除(10000円×10%=1000円)と
源泉徴収税額(所得税700円)が控除できるのです。
1000円−1000円(配当控除)−700円(源泉徴収税額)=▲700円
結果として源泉徴収税額の700円が丸々還付されることになるのです。
ただし実際申告をするに当たって、いくつかの注意点がありますので、それはまた
次回紹介したいと思います。

