[時事問題【国内】] 国内時事問題考察

アドバイザー:植松 和宏 / 行政書士・LEC専任講師

 

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多重債務者は救われるか。グレーゾーン金利廃止?

 2006年1月13日に,最高裁判所が判決においてグレーゾーン金利を認めない立場をとったことから,最近ではグレーゾーン金利撤廃の声が高まってきております。この影響で関係業界の株価が低迷し,また予想利益を下方修正するなど,反響も大きくなりました。こうした中,政府は2006年10月31日の閣議において,グレーゾーン金利での融資を禁止する貸金業法案を決定しました。予定では,2006年秋の臨時国会での成立を目指しており,法案成立から約3年後に上限金利引き下げを実施して多重債務者問題の改善を図るとしています。

 ところで,問題の根本であるグレーゾーン金利とは一体何なのでしょうか。

 金利の上限は当然のことながら法律によって制限されています。そして金融業者はその法律に則って融資金利を設定するわけですが,現在では金利の利息を制限している法律が利息制限法と出資法の2つが存在しています。この2つの法律で定めた金利の上限が異なっているところに問題があるのです。

 利息制限法による上限金利は,融資額に応じて15〜20%で設定されています。一方,出資法による上限金利は年29.2%に設定されており,利息制限法に比べるとかなりの高利になっています。さらに,出資法では違反すれば刑事罰が規定されていますが,利息制限法には罰則規定が存在しません。つまり,利息制限法による利息を超えてもお咎め無しになっているのが現状です。この利息制限法と出資法の間では,合法とも違法とも言い切れない曖昧な状況になっており,これがグレーゾーン金利と呼ばれるようになったのです。

 このような二重基準が容認されてしまう理由に,みなし弁済規定がありました。みなし弁済規定とは,利息制限法を上回る金利は違法であるものの,契約書面や受取書面等が整っており借り手が任意で支払いを行った場合などに限定して,制限超過利息の支払いを例外的に有効な支払いとみなす規定のことです。つまり,上限金利を超えた利息だとしても,債務者が自由意志で支払ったことが認められれば,それを合法とすると定められていました。結果として,貸金業者は罰則の対象にはならないことグレーゾーン間で金利を自由に設定し融資しているのが実情なのです。

 2006年11月1日には,金融庁が無担保融資を行う事業者が提出した事業報告書をもとに集計した,2005年度貸金業統計を発表しました。これによると,出資法と利息制限法の間のグレーゾーン金利を適用した無担保融資の件数は約4,715万件にのぼり,その割合は全件数の7割超を占めています。この融資残高は11兆4,095億円で全体の73.1%を占め,融資の大半がグレーゾーン金利となっている実態が明らかにされました。CMでおなじみの金融会社やメジャーなクレジットカード会社のキャッシングなどは利益を得ることが目的ですから,罰則のない利息制限法ではなく,罰則のある出資法の年29.2%を上限として金利を設定するのは当然のことでしょう。

 今日では,支払能力を超えて数社の金融業者から借金している多重債務者が,200万人いるといわれています。その多くの者はギャンブルなどの継続的浪費ではなく,生活のために借入れをした者が多いそうです。貸金業規制法がどのように改正されるかはまだ分かりませんが,確実に返済しようとしている利用者にとっては適正な金利で,また過剰融資による多重債務を防ぐことができるような法律に改正されることを期待したいと思います。

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