着メロと印税の関係は?
第1回,第2回と印税の仕組みについて説明してきました。第1回はCD売上げ、第2回はTV放送でした。今回は、最終回ということで、着メロと印税の関係について説明したいと思います。
「着メロ」というのは、ご存知のとおり着信メロディの略称で、携帯電話の着信音として音楽を鳴らす機能をいいます。着メロ事業は、NTTドコモによって世界で始めて開始され、今では様々な音楽配信事業者が参入し、1000億円を超える市場にまで成長しました。そのため、著作権使用料を受け取る音楽出版社,印税を受け取る著作者(第1回フロー図の番号(6)、(7)参照)は、著作権使用料規程の改正動向から目が離せないようです。
では、実際に印税を計算して見ましょう。ただし、話を分かり易くするために、着メロを1曲ダウンロードするための情報料は100円と考えます。また、第1回と同様、ここでも正確な印税額を知るのは不可能ですので、あくまで一般論である点を予めご了承下さい。
まず、音楽配信事業者は、JASRACから使用許諾を受ける(MIDIデータをサーバにアップロードすることを認めてもらう)代わりに、著作権使用料として1ダウンロードの情報料のうち7.2%×80%をJASRACに支払います。具体的には、着メロの1ダウンロードにつき、100円×7.2%×80%=約5.8円がJASRACに送金されます。
ここで、「7.2%」と「80%」について補足説明しておきます。まず、「7.2%」は、CDの場合には6%に相当する数値で(第1回フロー図の番号Dの説明参照)、この6%よりも少し高く設定されています。これは、CD工場でのCD化の作業よりも、コンピュータによる音楽配信の作業の方が、比較的手間が掛からないと考えられるからです。また、「80%」についてですが、これは、音楽配信事業者の経費を差し引くためです。例えば、音楽データを圧縮したり、音楽配信する際の課金システムを構築したりする等、売上げの20%が音楽配信事業者の経費として認められます。
さて、話を元に戻します。1ダウンロードにつき5.8円を受け取ったJASRACは、著作権使用料を徴収する手数料として、7%の金額を差し引いて、残りを音楽出版社に送金します。具体的には、5.8円の93%=約5.4円が音楽出版社に送金されます。
最後に、第1回で説明したのと同様に、所定の分配比率に基づいて著作者の取り分が印税として口座に振り込まれます。例えば著作者と音楽出版社で折半する場合には、約5.4円の半分の約2.7円が著作者の口座に振り込まれます。
以上より、例えば着メロが10万ダウンロードされたときの印税を計算してみましょう。1ダウンロードにつき約2.7円×10万で、27万円となります(税金は一切考慮していませんので、そのまま全額が著作者に入るわけではありません)。
全3回にわたり「印税の仕組み」について説明してきましたが、大体ご理解頂けたでしょうか。著作権法は、著作者等を適切に保護して、小説や音楽など数多くの知的創造物が生み出されることを促し、最終的には、文化の発展に寄与することを法目的としています(著作権法第1条)。今後、デジタル放送がスタートし、電子ペーパーや音楽配信が普及して、社会の仕組みがガラリと変わったとき、次世代の文化の発展に寄与すべく、著作権法も印税の仕組みも、その姿を大きく変えることでしょう。それでは、またの機会にお会いしましょう。

