[時事問題【国内】] 国内時事問題考察

アドバイザー:植松 和宏 / 行政書士・LEC専任講師

 

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「いじめ」をなくすことができるか? 教育基本法改正

 教育基本法改正案が,11月15日の衆院特別委員会において与党単独で可決されました。同法案は衆議院本会議を通過した後,11月17日には参議院で趣旨説明と質疑がはじまり,政府与党側は12月15日までの臨時国会の会期内の成立を目指しているようです。

 そもそも教育基本法とは,憲法の精神に基づいて,日本の教育の基本的なあり方を明示した法律と位置づけられます。同法は,前文からはじまり,教育の目的,教育の方針,教育の機会均等,義務教育,男女共学,学校教育,社会教育,政治教育,宗教教育,教育行政,補則の全11条からなる短い法律であり,1947年に施行されました。60年前に制定されてから今日まで一度も改正されることがなかった法律をどうして今,改正しようとするのでしょうか。


 戦後教育は,教育の機会均等という理念の下で国民の教育水準を向上させ経済発展を支えるなど,その役割を果たしてきました。しかし,教育水準や経済発展を遂げた今日の教育現場では,道徳や倫理観の欠如が指摘され,子供たちのモラルや学ぶ意欲の低下が顕著となっています。また,入試への効率性を優先した未履修問題などに見られる,学習指導要領と教育現場の要望の乖離など新たな問題も表面化してきました。さらに今日の学校では,陰湿な「いじめ」が問題となり,「いじめ」が原因で自殺者もでるなど,生命にかかわる問題も起きています。単純に考えても,教育制度がおかしくなっているのではないかと考えるのは当然のことでしょう。そのために,教育制度の基本法である教育基本法を手直ししようと考えるのは自然な流れです。

 しかし,法案に反対する民主党,共産党,社民党,国民新党の野党4党は採決に反発して本会議を欠席しています。さらに,日本弁護士連合会や教職員組合など各種団体からも,改正の手続きと内容に問題があるとの抗議声明を発表しています。教育制度に問題があることは認めつつも議論が空転する背景としては,内閣府主催のタウンミーティングで「やらせ発言」のよる世論操作の疑惑が発覚したことや,精神的自由を保障する憲法に抵触する恐れがある愛国心教育を規定することなどにあるといわれています。もちろん,愛国心などの感情は自発的に養われるものであり,国家から押し付けられるものではないといえば,そのとおりでしょう。


 教育基本法は「基本法」であるので教育に必要な理念や原則を規定するものです。教育委員会のあり方のような具体的な教育政策は基本法の下で検討していくべきですから,基本法が重要であることは言うまでもありません。安部首相はメールマガジンの中で「教育に対する基本的な考え方や価値観を,みんなで共有することが大切」だと述べ,そのために教育基本法の改正が必要であるとしています。まったくそのとおりだと思いますが,国民の一人としては理想の教育社会を確立するために,「いじめ」を見逃してしまう国への愛国心を求めるよりも,「いじめ」を許さない社会を作る心を育むような基本法を作っていただきたいと思います。

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