「防衛庁」から「防衛省」昇格へ秒読み段階! で、何が変わる?
2006年11月30日の衆議院本会議において,防衛庁の省昇格関連法案が賛成多数で可決され,参議院に送付されました。このままいけば,12月中にも同法案は参議院でも可決され、2007年1月には「防衛省」が誕生することになりそうです。「庁」から「省」に変わることで,その組織の名称が変わり,組織の長も「防衛庁長官」から「防衛大臣」に変わります。
現在の防衛庁は,防衛庁設置法2条に基づき設置された内閣府の外局です。外局とは,内閣府におかれる金融庁,財務省におかれる国税庁,文部科学省におかれる文化庁,経済産業省におかれる特許庁や中小企業庁など,1府12省の本体業務に比べ専門的な分野に特化するための組織です。他にも,文化庁,社会保険庁,林野庁,水産庁,資源エネルギー庁,海上保安庁,気象庁などたくさんあり,防衛庁も内閣府の外局という位置づけになります。
こうした外局は1府12省のような省令の制定や改廃を行う権限を持っていません。防衛庁も庁令を制定するような権限を持ちませんから,要求や提案がある際には,内閣府の大臣官房に上申するかたちをとっていました。当然のことながら,手続きは煩雑で複雑化し遅くなります。
今後,防衛庁が防衛省になると,外局ではなく独立した本省になるため,内閣府を通さなくとも単独で要求や提案が可能となります。予算要求についても,これまでは内閣府を通して閣議に諮っていたことを防衛大臣が単独で閣議に諮ることができるようになるのです。
さらに,府や省の外局として置かれている「庁」については大臣を置く必要がありません。外局の長は長官が置かれますが,長官は必ずしも大臣でなくともよいのです。しかし,防衛庁だけは,長は国務大臣をもって充てるという防衛庁組織法3条の規定に基づき,唯一大臣が置かれていた大臣庁でした。そのため,実質的には防衛庁は省とほぼ同格として扱われてきた経緯がありましたが,今後,防衛省になることで例外的な組織ではなく名実ともに内閣の直接下に属する省になるわけです。
集団安全保障が世界的に重要な課題となっている今,日本が国際的に重要な責任を果たすためには,防衛省へ改組することは有益なことだと思います。しかし,今回の省昇格の関連法案には,自衛隊のPKO業務や周辺事態における後方支援活動を,付随的任務から本来任務に格上げすることなども含んでいます。本来は,名称よりもずっと重視すべき内容であるはずですが,省昇格のお祝いムードで隠れてしまっているようです。国の名誉も大切ですが,「防衛」や「国防」など生命や自由に大きな影響を与える可能性のある行政庁ですから,その審議や統制は厳密に行ってほしいものです。

