[時事問題【国内】] 国内時事問題考察

アドバイザー:植松 和宏 / 行政書士・LEC専任講師

 

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「ホワイトカラー・エグゼンプション」通常国会提出を見送り!だから何?

2007年1月18日,政府与党は「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度を盛り込んだ労働基準法改正案の通常国会提出を見送る方針を固めたというニュースがありました。しかし,なんでもカタカナ言葉にしてしまう最近の風潮の典型みたいな「ホワイトカラー・エグゼンプション」とは一体何なのでしょうか。法案提出見送りで,国民にとってメリットはあったのでしょうか。


 現在の労働基準法では,1日8時間・週40時間の労働時間規制があります。この時間を越えて職務に従事すると25%の割増賃金が支払われることはご承知のとおりでしょう。
 今回の国会で提出が見送られたホワイトカラー・エグゼンプションとは,自律的労働時間制度ともいわれ,ホワイトカラー労働者(主に事務に従事する人々や職種を指す言葉で,ブルーカラーと対置される)のうち,年収などが一定の要件を満たしており裁量的な業務に従事しているような場合には,週40時間を超えて働いても割増賃金をもらえないという制度です。つまり,端的にいうと合法的に残業代を支払わなくてもよいという制度のことです。
 どうして,このような労働者を敵にまわすような案が検討されたのかというと,やはり正当な理由があります。現在のような労働時間規制は,労働時間が仕事の成果に比例しやすい業種の労働者には適切ですが,労働時間によって成果を評価しにくい事務系を中心とした労働者にもそのまま適用するのは不適切な場合もあります。そこで,管理職のように年収が一定の基準以上あり,業務の裁量性が高くて,労働時間の長さと成果が必ずしも比例しないような労働者については,ホワイトカラー・エグゼンプションを導入することによってコスト削減を図ることができ,業務の効率性を高めることができるわけです。


 これまでの日本でも,フレックスタイム制など時間を効率的に使う制度がありましたが,一層の効率性を高めるために,2004年3月に小泉内閣がホワイトカラー・エグゼンプションの導入案を決定しました。政府の決定を受けて,厚生労働省では「今後の労働時間制度に関する研究会」が発足し,2007年1月25日に開会する通常国会への法案提出を目指していました。
 こうしてみると,ホワイトカラー・エグゼンプションの導入はもっともらしい内容ですが,各界からは賛否両論がありました。
 たとえば,これまでも労働時間規制の緩和を主張してきた日本経済団体連合会(日本経団連)は,「ホワイトカラー・エグゼンプションに関する提言」の中で,自らの裁量で専門業務に従事しているような労働者は,無条件で適用除外とし,その他の業務についても年収400万円以上であれば適用除外とすることができるという独自案を発表しました。ホワイトカラー・エグゼンプションの導入によって,リストラ(事業再構築)なしにコスト削減が図れるのですから,経営者団体にとっては理想的な制度でしょう。
 しかし一方で,マスコミはホワイトカラー・エグゼンプションを「残業代ゼロ法案」と呼ぶなど否定的な立場をとっており,また日本労働組合総連合会(連合)もサービス残業が合法化される可能性があると猛烈に反発していました。


 多種多様な働き方がある現在,時間にとらわれない制度の整備は必要です。しかし,企業の効率性を高めるあまり,労働者の負担を強いるような制度作りは止めて欲しいものです。2007年の通常国会へホワイトカラー・エグゼンプション関連法案の提出が見送られた背景には,7月の参議院議員通常選挙への影響を回避するためというのがあからさまですが,国会では主権者である国民を尊重するような議論をしてほしいと思います。

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