[時事問題【国際】] 国際時事問題考察

アドバイザー:大野 純一 / LEC専任講師

 

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6カ国協議 北朝鮮核問題の経緯をふりかえって

今回は,北朝鮮を巡る6カ国協議について確認していきましょう。

報道にありますように,2月13日に北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議(外務省では「六者会合」としています)において,ニョンビョンの核施設閉鎖など核放棄に向けた「初期段階の措置」と重油の提供など見返りを盛り込んだ文書が採択されました。
合意内容を簡単に確認しておきますと,将来的な北朝鮮の核放棄に向け,今後60日以内に必要な措置をとる,ということになりますが,大きく2つの柱から成り立っています。1つは,ニョンビョンにある核施設の活動を停止するというもので,もう1つはその代替措置として,エネルギーとなる重油を供給するというものです(今後60日以内に5万トン,将来的には総計100万トン)。

北朝鮮の核施設を凍結するというのは分かるとしても,なぜ,代替措置として重油の供給が必要なのでしょう?
このあたりのことを理解するために少し時代をさかのぼり,北朝鮮核問題の概要をチェックしておきましょう。

話は1990年代にさかのぼります。北朝鮮は,発電用と称して黒鉛減速炉を所持していました。この原子炉は一般的に普及している軽水炉とは異なり,核弾頭の原料となる高純度プルトニウムを生成しやすいものです。このことが国際社会において問題化し,アメリカら諸国が北朝鮮に対し,核開発放棄を促しました。一時は情勢も緊迫しましたが,1994年に元アメリカ大統領ジミー・カーターが訪朝して金日成国家主席と直接交渉し,黒鉛減速炉を停止し,かわりに高純度プルトニウムを生成しにくい軽水炉による発電所建設と発電所完成までの代替エネルギーとして重油を日本・韓国・アメリカが提供するという合意(発電所は日本と韓国が提供,重油はアメリカが提供)にいたりました。これが「枠組み合意」とよばれるものです。
なぜ代わりの原子炉が必要であったかということですが,北朝鮮側はあくまでも黒鉛減速炉は核兵器開発用ではなく,発電用のもので,国家にとって必須であると主張したため,それを停止させるには,代わりの原子炉を建設しなければならないとなったためです。重油供給については代替原子炉が完成するまでの間のエネルギー確保を保障するという点からでした。このあたりが「核をカードに使った外交」と呼ばれるものです。

しかし,この合意は反故にされます。軽水炉建設に際しては軍事流用を防ぐ目的などから,IAEA(国際原子力機関)の査察を部品の段階から必要としているのですが,北朝鮮はそれを拒否し続けました。さらに,2002年には北朝鮮が核爆弾を保有するためのウラン濃縮を計画していると公表したため,アメリカが重油の供給をとめます。それに対し北朝鮮は駐在していたIAEAの査察官を国外退去処分とするなど事態は悪い方向に向かいます。

このままでは北朝鮮をますます孤立させてしまい,暴発することも懸念されます。そこで,あらためて北朝鮮の核問題を国際的な観点から関係各国で話し合おうということとなり,討議の場が設けられました。これが「6カ国協議」というわけです。2003年に第1回会合が持たれ,その後断続的に会合がもたれています。今回の会合は第5回会合の第3次会合として位置づけられています。各回の会合の詳細は外務省のサイトなどを参考にしてください。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/index.html

今回の合意によって,「枠組み合意」に立ち戻ってその本来のあり方を実現しようという形はおぼろげながら見えてきました。今回の成果文書が定めた今後60日間に予定通りの対応がとられるかどうかが今後の大きなポイントになるでしょう。

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